「なんでー?」
「は、恥ずかしいし…」
そう言うとキョトンとした顔をして、アハハッと笑出した。
「なーに言ってんの!1人の客に恥ずかしがってたらライブどーすんのさ」
「あ、そっか…」
「お客さん第一号ってことで!」
お客さん第一号…。
そう、だよね。
1人に緊張してたら、ライブのときうまく歌えないかもしれない。
そんなの、絶対やだ…。
「……音也くん」
「んー?」
「私たちの曲、聞いてもらっていい?」
「もちろん♪ちゅーか、俺が聞きたいんだし♪」
「ふふっ」
お客さん第一号か…。
何かこの響き、好きかも。
何故かにやけそうになる顔を必死で堪えて、歩き出した。


