「………そっか」
「うん」
ふーっと息を吐いて教室に入って行く優奈。
ありがとうって、いつも思ってる。
心配してくれて。
「愛ちゃん」
「…」
「愛ちゃん?」
「あ、ごめん?何?」
「いや、奏音になに言われたのかなーって」
“奏音”
あれ、二人は知り合いだったんだ。
…まぁ、奏くんも叶夢くんも未来くんも音也くんもみんなに大人気だし。
知り合いでもおかしくないか。
「特になにもっ。ただ『歌の練習おろそかにすんなよ』って」
「そっかー。大丈夫?ライブもあって、そのうえ劇までなんてさー」
「ハハッ、大丈夫大丈夫!!私は元気だけが取り柄なの!」
「歌もでしょー」
「………」
「愛ちゃんの歌聞いたんだー。すっごい上手だった」
「………」
「だから、歌も取り柄じゃん?」
「……ありがとう」


