好きな音。



どうしたものか…。


「でもさ」


声の方に奏くんは振り向く。


私は視線だけ。


声の主は叶夢くん。


「なんだ?」
「王子役、音也だったじゃん。他にやりたいことかいたんじゃない?」
「そぅだよー。変わってもらえばいーんじゃない?」
「あ、それ…」
「そうしろ」
「えぇっ!?」


それは無理と言う前に遮られて、しかも命令形なもんだからついビックリしてしまった。


「んだよ」
「や、それは無理でして…」
「あぁ?」
「~~~~っ」


「びびってる、びびってる」と叶夢くんが苦笑いしてるけど、そんなこともーどーでもいー。


睨まれて、また蛇に睨まれた蛙のようだ。

綺麗な顔してるから、迫力がやばい。