好きな音。



嵐が去ったようにポカンとしてると、廊下からバタバタと走る音が聞こえてくる。


あぁいやな、予感が…。


「うたっ!!」


そう思った瞬間、バンッと教室の扉が開いた。


クラスの全員が一斉にドアの方を見た。


嫌な予感的中。


ものすごい勢いで入ってきたのは、奏くん。


その後ろからゆっくり叶夢くんと未来くんが来るのが見えた。

あーまだ奏くんに怒られる心の準備が…。


そう思って未来くんたちから視線を外すと、恐ろしい顔をして黒板を凝視している奏くん。


怖い。怖すぎる。


奏くんは目を伏せて、こっちに向かってきた。

髪が目にかかって顔が暗い。表情がわからない。


ただずんずん向かってくる。



「ぅあの、奏く…」


声をかけたらガシッと掴まれた。