本当は人気者の宮崎くんがやるとなったら、クラスの女の子はやればよかった!と悲鳴をあげていた。
代わってもらうこともできたけど、時間がなくそのまま決定に。
『ったく、お前はぁ。』
「ごめんったら」
『…………』
「?奏くん?」
『文化祭の仕事が終ったら、部室にダッシュしろよ』
「…え」
『返事』
「はいっ!またあとでね!!」
『おー』
もっと怒ると思ったなー。
予想外の上機嫌で宮崎くんを見れば、携帯をいじっていた。
話しかけると悪いかな…。
そう思って待ってると、ふいに宮崎くんが顔をあげた。
「うゎっ」
「えっ!?」
顔をあげた次の瞬間、びっくりしたとでも言うような感じで私まで驚いてしまった。
「電話終わったの?」
「うん」
「もしかして、ずっと待ってた?」
「うーうん、2、3分だよ」
「ごめんね、気づかなくて」
「ううん。こちらこそごめんね、ありがとう」
「え?」
「え?」
「なんで“ありがとう”?」
「え、だって…待っててくれたから」


