奏くんは一瞬、少し驚いたような顔をして自信に満ち溢れた顔になった。
「あたりまえだろーが。このオレが作るんだ。聞いてるほうも、演奏するほうも、楽しくなるに決まってんだろ?」
すごい自信…。
けど本当のことだから、全然嫌な感じしない。
思わず笑顔になると、後ろからいつの間にか移動していた未来くんの声がした。
「ほんとの奏でたねー」
「うたちゃんには見せないのかと思ってた」
「メンバーなんだから、見せないわけないだろ」
メンバーって言葉に胸が温かくなる。
…ほんとの奏くん?
「本当の奏くんって?」
「さっきみたいな、自信満々の奏のことだよっ」
「超どや顔だったでしょ?」
「ほんとのことだろーが」
確かに、自信満々でかなりどや顔だった。
けど…
「あんまり変わらない気が…」
呟いた私の声は、誰にも届くことはなく音楽室に消えていった。
2対1の戦いを繰り広げる3人を見て、私は笑った。
今日奏くんと言い合いしたことで、少し仲良くなれた気がした。
3人と。
どこかで、絆が少し、深まる音が鳴った。