好きな音。




ガラッ


突然開いた音楽室のドア。


驚いて開いたドアをみると、ドアの向こうには3人が立っている。


「え、何でここに…」
「いや、うたちゃんが忽然と居なくなったから捜してたんだ」
「3人で!?あー、声かければよかったねっ」


叶夢くんの言葉に、あわあわする私に未来くんが話しかける。

「うたちゃん、ピアノ上手だね!!今もやってるの?」
「……なにを?」
「え、だからピアノ」
「私、生まれて初めてピアノ弾いたんだけど…」
「え」


私はピアノ引いたの初めて。

どれがどの音かを知っていたくらいで、弾いたことなんてなかった。


目を見開いて驚いた顔をしてる未来くんと叶夢くんをよそに、奏くんは怖い顔をして私を見ている。


「うた」
「なに?」
「今の。楽譜、見せろ」
「え、いいけど…。まだ何も書いてないよ?」
「は?」
「?」
「今ピアノで弾いてただろ」
「うん。でも、まだ何も書いてないよ」