優奈は私の事を“うた”と呼ぶけど、私の名前は“愛歌(あいか)”だ。
「もう、癖だよ~」
エヘヘと笑う優奈に、ハァとため息をつく。
なんでこうなったかっていうと、高校に入って優奈が私の名前を見て「あいうた?」と聞いてきた。
いくらなんでも“あいうた”はないでしょ、と思いつつも「愛歌です」と言うと「可愛いね」とにこっと笑った。
もう間違えないでしょ、と思っていたのに間違うどころか“うた”と呼ぶようになった。
ほぼ毎日「やめな」と言っても、やめることはなく早1か月。
そんな優奈とは、一番仲のいい友達、親友だ。
高校に入学して、4月はあっという間に終わって、もう5月。
話しながらのお弁当の時間はあっという間に終わった。
少し話していると、教室のドアのほうから優奈を呼ぶ声。


