好きな音。



「あ、あのさ…」
「あ!安心してね!うたちゃんの名前は行ってないから♪」
「言ったら面倒だろうしね」
「……」


聞く前に答えてくれた二人に、驚きながらも顔が緩んでいく。


きっと、私が不安になってるの気づいたんだろうなぁ。


ん?


何だか視線を感じて、感じる先をみると、奏くんがじっと私を見ている。


な、なに?


また意地悪言われるのかと身構える。


「なぁ」
「なに?」
「お前が何されよーが、知ったこっちゃねーけどよ。歌えないとか、辞めるとかだけは言うなよ。そっちの方が迷惑だからな」


そう言って、ギターを取りに行く。


唖然と聞いていたけど、自然に口角がぴくぴくと動く。


ほんっと優しくない!
てゆーか意地悪すぎ!
口悪い!!


私はひきつった顔で奏くんを見ていた。