「今の、ほんとですか?」
「そうらしいね」
「僕たちはただ演奏できて、喜んでくれる人がいたら嬉いってだけ」
「……」
「お前、辞めるなんて言うなよ?」
「……」
「やっと見つけたんだ。逃がさねーからな」
なんか、とんでもないことに…。
「ま、これから頼むぞ。うた」
……ん?
う、た?
まさか、優奈の呼び方で!
「あの、ちょっと!」
「ダメだよー、うたちゃん。うたちゃんはもう、僕たちメンバーの一員なんだから」
「いや、だからっ」
なんてメチャクチャな日なんだろう。
どんどん話が進んでいって、気がついたらvocalになってるなんて。
不安がめちゃくちゃあるけど、でも、ワクワクして楽しい。
どこかで、始まりの音が、鳴った気がする。