好きな音。



「さ、さっき、う裏庭できっ、聴きました」
「そうか」
「……」
「てことは、歌ったのもお前か?」


ビクッと跳ねそうになった肩を、止めた。


「……はい」


ギュッと目をつぶる。

やばい。
いったい、どんな罵声を……!!


「やっぱりそうなんだぁっ」


……へ。


可愛い感じの男の子が、とても綺麗に笑っている。


あれ?
罵声を浴びさせられる雰囲気は0。

とても穏やかな雰囲気。


「さっき演奏してたら、綺麗な声が聴こえたから、僕たち急いで捜してたんだよ」


捜してた?
怒るために?

いや、でもそんな雰囲気じゃないし…。


「なぁ」


ポカンとしていると、俺様風男の子に声をかけられる。


「はい?」
「ちょっと歌ってくれ」


…は?


いやいやいやいやいや、ちょっっっと待って!