「今の状況を見たら、普通は逆だろ」
「こんな純粋そうで可愛い子が、奏を押し倒すわけないだろ」
「それに、こんなに落ち込んでるんだもん。絶対奏のせいだよ」
「お前らなぁ。さっきの状況を見たら、どう考えてもコイツが俺を押し倒してただろーが」
「……」
ドンドン話が変な方向に進んでる気が…。
「あのぉー」
「あぁ!」
ずっと黙っているわけにもいかず、おずおずと声をかけると、私の声の倍くらいの大きさで、1人の男の子が声をあげた。
「歌の子は?」
歌の、子?
「あぁ、だからそれをコイツに聞こうと」
さっきまで、私が押し倒したようになっていた男の子が私の方を向いた。
それにつられるかのように、二人も私の方を向く。
「おい」
「はい…」
「このへんで歌聴こえなかったか?」
「歌…」


