絢も本当に暇人。
見舞いなんて毎日来なくたっていいのに。
なんて、内心すごく嬉しかった。
楽しみなのは特に土日だった。
絢のお母さんが、土曜や日曜日に夜勤を入れていたから、
絢は毎週病院に止まっていた。
幸せの空間。
でも…
手が届く距離なのにその距離でさえ、遠い。
読書なんて、後からにしろよ。
ベッドについている机に、
突っ伏すような体勢になり、髪をクシャッと握る。
「距離が遠いだろ……」
スキが大きくなるほど、その距離がもどかしくて仕方ない。
弱った俺の声。
ダメだな俺…。絢なしじゃ生きていけないかもしれねぇ。
「えっ?」
驚くよな。
いきなり何言ってんだよ。でもさ
それくらい好きなんだ。
「そばにいろ」
その日は、病院のベッドで一緒に寝た。
狭いけど、温かい。
腕枕すると、新鮮な感じがした。
「絢、お前の描く未来に俺はいる?」
「陽のいない未来なんて想像もできない」
「お前と出会って、運命さえ変わった気がする」
生きなきゃいけない。
絢の思い描いている未来に、
俺がいるのなら。
隣で笑っているのなら……
絶対にあきらめられない。
諦めたら、俺は最後まで最低な奴になる。
だから
絶対
諦めない。

