それから毎日が、幸せで仕方なかった。
絢がいることが俺にとっての痛み止め。
いちばんよく効くクスリ。
「陽!お見舞いきたよ!」
「絢、こいよ」
笑顔で病室に入ってきた絢に命令する。
そんな笑顔の彼女を見ていたら、
このまま時間が止まればって思ってしまう。
「命令ですか?」
「…来て?」
絢はクスクス笑いながら、ベッドに近づいた。
もう、届く距離。
俺は絢の腕を掴みひっぱた。
温かい…
絢の優しい体温。
久しぶりすぎて、力がこもる
「…放したくねぇな…」
「絢も…放されたくない…」
「なんだよそれ マゾ」
「ちがうよ!」
「本当に?」
絢の新鮮な反応は俺を楽しませてくれる。
元気がもらえるな。
エネルギー、希望。
大切な何かは絢が全部くれる。
「やっぱお前…俺のイチブだわ」
「え?」
「絢がいると、元気になんだよ」
唇を重ねる。
空いていた時間分
離れた距離の分
消えた温もりの分
全てを取り戻すかのように…。
本当に必要だったのは
和泉 絢の温もり。

