乾いた咳に伴う血。
吐血していた・・・。
姉貴たちはオロオロしながらもナースコールを押した。
…もうダメなのか?
死にたくない。
イヤ
死にたくないんじゃない。
諦めたくないんだ。
絢との未来をもう少しだけ
歩みたいんだ。
目の前が真っ白になった。
それから、いくつもの検査にまわされたんだと思う。
癌の転移が
数か所から見つかった。
「…姉貴…」
こんなに苦しくても
また、俺は目を覚ます。
酸素マスクをつけられて。
俺が生きている意味。
それはきっと、絢ともう少し一緒にいるため。
「陽…っ!?」
「…らしくねぇよ。泣くな」
起き上がる俺を、姉貴たちは心配そうに支える。
…この時から気づいていた。
タイムリミットが近づいているということに。
「なあ、俺が姉貴たちにできることってなんかない?」
「なに?」
諦めてなんかないけど、
もしさ明日生きてなかったらとか考えると
姉貴孝行しといたほうがいいなって。

