生まれて捨てられ、
実の母親に『生まなきゃよかった』と言われ……
俺は生まれてきてもよかったのか?
繰り返し答えのない疑問を感じ生きてきた。
愛情を受けず……
“愛し方”も“愛され方”もわからず彷徨って。
その答えをようやく見つけたのに
暗い闇の世界で、ようやく光を見つけたのに
神様は俺を見放したんだ。
「絢ありがとう。俺と出逢ってくれて」
「陽、ありがとう。絢を好きになってくれて」
そういった絢は俺に優しく微笑みかけた。
絢と出逢って、俺の全てが変わった気がする。
たとえ
別れが待っている
“出逢い”
だったとしても
“出逢わなければよかった”
そう思う事なんてできなかった。
それだけ
絢の存在が俺の心を変えて、俺自身までもかえたんだ
「…ありがとう…」
「陽?さっきから聞こえないよ」
「なんでもねぇ」
人を想うことの大切さや
人を大切にすることの難しさ……。
そして
恋の嬉しさや幸せと表裏一体にある痛みやつらさ。
きっと
絢がいなかったら、何一つ知ることはなかった。
こうしてる間に
病気は確実に俺の身体を
むしばんでいた