考えていた通りだった。


病気は俺から体力、気力、生きる希望さえ奪っていった。
絢と別れて、まだ少し

もう、何十年も離れている気分
変な感じだな…。



なぁ絢…
お前はもう俺を忘れた?

優に恋してるか?
会いたい


会って抱きしめたい






「陽くん!」



「由美…」



「外出許可おりたよ。さ、どこいくの?」



「勇気をもらえる場所」






そういって、フラフラしながらも
着替えた。

外出期間はたったの二日。


だったら
絢に会えない分、想い出の場所に行って、絢を想おう。




秋風の吹くこの場所は、ススキが揺らいでいた。
由美はそっと俺の背中を押す






「由美はさ、どうだった?」



「なにが?」



「病気の父親のそばにいる母親みんの」






いちばん近くで見てきた由美。

癌を患い、苦しむ父親を見ながら必死で看病する母親。


由美はクスッと笑い、俺に微笑みかけた。
いつだって由美は救ってくれる。
こんな最低な俺を支えてくれる。


大切な心の支え






「そうだねー…。あたしは今よりもずっと子供だったから、正直何がつらいのかよくわからなかったんだぁ」



「そ…っか」



「でもね」





由美は穏やかな口調でゆっくり話した。
この時
由美の話を聞いてよかったなって思える。


俺の限られた時間が
なによりも輝くものになったのは由美のおかげ