泣いている由美に微笑みかけながら、
俺は話しを続けた。
「よくある話だから嫌なんだ」
「え?」
「病気の男に献身的につかえて、泣いてる女みんの。」
「だから…?」
「離れた。俺のせいで絢を傷つける」
絢が、つらい思いをしないように。
幸せな未来を作っていけるように。
夢ならいい。
俺の病気も、絢の存在も…。
全部…ぜんぶ。
「どんなに絢が…陽くんを…っ好きか」
「それは俺も同じだって。絶対、大丈夫。絢には優がいる」
「でも…っ 陽くんは!?」
泣きじゃくる由美を慰めながら…
柔らかい口調で俺は言った。
「心をもらった。愛も…。全部…」
「それで…いいのっ…?」
「あいつが笑顔を失わないならいい」
今まででいちばんの笑顔を、由美に向けた。
口止めをすると
由美は頷いて承諾してくれた。
「絢はすごいね…。陽くんをこんなに変えた」
絢に別れを告げて、由美に真実を語った。
この話
もし絢が聞いたら
嘘だと思う?
でも一言言わせて…。
“本当だよ”って…。