「 おはよう!智波ちゃん。 」


階段を上りきったところで理佑くんの声がした。

このなんとも言えない無邪気な笑顔に
私は朝から疲れを感じてしまった。


「 おはようございます。 」


とても彼氏に言うような声のトーンではなく、
どちらかと言えば
先生に挨拶をするようなトーンに
さすがの理佑くんも呆れるはずと思っていたのに…。


「 智波ちゃんはキチンとした挨拶をする方なんですね。
そういうところも好きなんですけどね。 」


「 そういうところも?
私たち昨日知り合ったんですけど…? 」


「 智波ちゃんにとっては、そうかもしれないね。 」


… … …


「 あの… 理佑くん
私は恋愛にむいてない!って言われてるけど…
私と恋愛してくれますか? 」


あれ?
私何いってんの?
理佑くん、めちゃくちゃ笑ってんじゃん?
あー、何いってんだろう?


「 智波ちゃん!
恋愛は勉強みたいにガムシャラにしたら出来るってことじゃないよ?
いつからが恋愛かわからないんだよ、オレみたいに。 」


私の右手を繋いで


「 恋愛にむいてない!とか、
むいてる!とかじゃなくてさ。
オレの彼女にはむいてるから、
それでいいんじゃないかな? 」


私は自然と大きくうなづいた。


つまり、
恋愛にむいてないんじゃなくて

好きになれる男性を探し過ぎてたってことかな?


探さなくても近くにいたのにね。


「 理佑くん! 」





end