ずっとずっと、
憧れていた…あの人。

中学の入学式に一目惚れして、
高校も追いかけてきて今高校の卒業式。

最初で最後の勇気を振り絞って告白したら


「 オレもお前のこと気になってたし…いいよ。 」

簡単にOKされた私。
今までの六年間はムダだったのかしら?
片想い長すぎだしさ。
なんて考えてしまうくらいに。

これからの毎日は
楽しいことが待っていると思っていた。


「 育望!待ったよね? 」


冷たい手で私の頬を触る、私の大好きな彼。

こんなキラキラした12月の街に一人ポツンと待たされるなんて
私だけ時間が止まっているように思えていた。


「 開智くん、
もちろん待ちましたよ。
いくら開智くんでも二時間の遅刻って、
どうしてなの?
何かあったの?
連絡してくれてもいいよね? 」


ちょっとふてくされている顔をした私の頬をつついて、
開智くんはかわいくシタを出した。


「 ごめんね…育望。
それより、ねぇ、
ボクの手が冷たいんだよ。
冷たくて痛いんだもん。 」


どうしてなの?
何かあったの?
って聞いたのに…
まったくそれにはふれてこない。