まだ、帰ってこないあいつを俺は、下駄箱に寄り掛かって待つことにした。
「お、陽一じゃ~ん。」
そこへ誰かが俺に話し掛けてきた。
「ああ、和馬か。」
話し掛けてきた男。そいつは俺の親友、北川和馬だった。
「よお、こーんなとこでなーにしてんの?」
和馬は隣に連れていた先輩らしき女を後にすると俺の所までスキップで来た。
無駄にテンションたけーな、こいつ。
「別に。」
「ふぅん?」
俺の答えに不満な顔を見せながらも和馬はまた女のとこへ戻っていった。
あいつ、今日も持ち帰りか。
あいつ、北川和馬は優等生というよりも遊び人、チャラチャラした軽い奴だ。
とりあえず、顔が少しでも良ければナンパするような軽い奴。
それはここの全校生徒が知ってるような事だ。
だけど、そんな噂があってもあいつの人気は落ちない。むしろ落ちることはないだろう。
理由は簡単。あいつのまるで絵本の中の王子様のような甘いマスクが女共を惑わせるからだ。
あんな顔で優しい言葉を一言、二言耳元で囁けば、大抵の女はコロッといく。
それを本人も知っているから質が悪い。


