「大したもんじゃねぇし、いいって。どうせ捨てるだけだし。あ、これも、やるよ」 真弥さんがシャツのポケットから何かを出し、私に投げた。 慌てて受け取る。 「ダーツケース。それに入れとけ」 使い古された感じのケース。 でも何だか、大切に使われてたんじゃないかな、と思えるような温もりを感じた。 ホントにもらっちゃっていいのかな…? 「――あっ!待って!」 私は無意識に真弥さんを呼び止めていた。