真ん中ではないけど、残りの2本もダーツボードに刺さった。
「すごい…!」
「全然すごくねぇけどな。1点て」
「喜びに浸らせてくれたっていいじゃん!」
「ま、せいぜい頑張れば」
ふん、と鼻で笑って、カウンターに向かう真弥さん。
あ、ダーツ!
私はダーツボードに刺さったままのダーツを取り、真弥さんを呼び止める。
「ねぇ!これ!」
私は真弥さんに向かって、ダーツの矢を差し出す。
「それもう使わねーやつだから、やるよ。店にあるダーツより重量感あって投げやすいだろ」
「あ、うん。投げやすかった…でも」
私はダーツを差し出した手を下げるのを躊躇う。

