私のイライラなんて関係ないと言うように、真弥さんのレクチャーは続く。
「で。右腕はこう。二の腕は平行にして固定、肘から先だけ動くように。左腕は自然に下ろしとけばいい」
どんどん私の身体の形を変えていく真弥さん。
私はされるがままになっていた。
…ていうか超、饒舌(じょうぜつ)。
ダーツが相当好きなの?
「スローする時は、肘を支点にして肘から先をダーツボードの当てたいところに向かって、伸ばすだけ。二の腕は動かすなよ?スローする前にちゃんと、肘を伸ばした時に投げたい方向になってるか確認しろよ」
真弥さんの右腕が急に視界に現れて、私はビクッと身体を震わせてしまう。
ほどよく筋肉のついた腕。
キレイな、だからと言って細いわけではない大きな手。
「あ、ダーツを握ってる指は、腕を伸ばしたと同時に、一緒に外せよ?ダーツは真っ直ぐスローして、当てたいところを指差す感じだ」
真弥さんの指が的に向かって、真っ直ぐ伸ばされる。
…初めて真弥さんを見た時の、手と同じ。
ちょっと、ドキッとした。

