「…おい」


真弥さんはうつ向いてしまった私の顔を覗き込んでくる。


……ムカつく。


もう、ムカつく!


それ以外の言葉は出てこなかった。


自分でも制御できない気持ちをどうにかしてほしくて、でも、どうにもできなくて。


ただ怒りをぶつけることしかできなかった。


「―――バカっ!」


私は真弥さんに向かってそう言い捨て、店を飛び出した。