「……ああ、そういうこと。くだらね」
その人は和希さんには聞こえないくらいの声で、呟いた。
その声に振り向くと…冷ややかな目で私を見ていた。
「!」
何こいつ…。
なんっか、いちいちムカつくんですけど!
私がその人を睨みかけた瞬間、和希さんの声が聞こえてくる。
「あ、じゃあオレ、裏行ってくるね」
私は咄嗟に顔を引き締めて、和希さんに笑顔を向けた。
「…あ、そうだ。キミ、名前何て言うんだっけ?」
和希さんの笑顔が私に向けられる。
「!私ですか!?」
「うん」
!ヤバい…!
和希さんに名前聞かれるなんて!
これ、一気にお近づきになれてるんじゃない!?
…って、せっかく嬉しい気持ちに浸っていたのに
「…あんた以外に誰がいるんだっつーの」
私をバカにしたような声が上から降ってくる。

