その険悪な空間に気付いた和希さんは、慌てた顔をして口を開いた。


「あっ、ごっごめんね!?こいつ口悪くてさ。許してやって?」


ごめんね、と和希さんは顔の前で手を合わせて、困ったような笑顔を私に向けてくる。


いやいやいや!


和希さんは何も悪くないのに!


「あっいや、謝らないでくださいっ!ホントにうるさかったのかもしれないですから。私こそごめんなさい」


私も慌てて手を左右にブンブンと振って答えた。


すると、和希さんはホッとした笑顔を返してくれた。


――ドキッ


私は咄嗟に胸を押さえた。


…和希さんの笑顔、癒される!


それだけで嫌なことなんて忘れてしまうくらいの力。


私も自然と笑顔になる。


…そう思った時だった。