「あーあ。さっちゃんって泣き虫ちゃんだったんだねぇ。ホント、かわいい」
そう言って、和希さんの大きな手が、私の頭を優しく撫でる。
「いじめすぎちゃったかな?何か、お互い素直じゃないのが焦れったくてさ」
「……?」
私は和希さんが言った言葉の意味が理解できなかった。
焦れったい…?
「…何を必死に否定してるのかわかんないけど、素直に考えてみようよ」
「……素直に…?」
「そうだよ」
和希さんは、私でさえわからない私の心が見えているようで。
和希さんの顔が私の顔に近付く。
端から見たら、キスしてるように見えるんじゃないか、って近距離。
すぐ近くにある優しい笑顔にドキドキする。
好きだなって思う。
のに。
…何か違うんだ。
和希さんにドキドキはするけど…そういうんじゃなくて…。
…そう、友達、とか、家族に対する気持ちと同じような…
恋愛感情とは、違う…

