「…違う。私が好きなのは…、和希さんなんだから…」
心の中で言い聞かせていたはずなのに、無意識に口に出てしまった言葉。
ハッと我に返って、和希さんのことを見ると、驚いたような表情を浮かべていた。
…今の聞こえてた!?
「――あっ、じゃなくて…!今の、違…っ」
私は目をギュッと瞑って、口を手で塞ぐ。
顔から火が出そうなくらい、熱くなるのがわかる。
涙が出そう…!
そんな私の頭にポンッと手を置く、和希さん。
「っ!」
顔を上げると和希さんの優しい笑顔があった。
「――――うん。俺もさっちゃんのことが好きだよ。でも、それはさ。…………さっちゃん…」
和希さんは何か言おうとしていたことを止めて、私の名前を優しく呼んでくれる。
そして、私は気付く。
「―――…あ、あれ?」
…頬を温かいものが伝った。

