「あなたの手は空に届くのね」 視線はビーチグラスに落としたまま、彼女はポツリとそう零した。 どこか悲しそうな、寂しそうな、嬉しそうな、何とも言い難い色だった。 「だいじょうぶ」 泣かないで。 「光に憧れているのは、貴女だけじゃない」 届かないのは僕も同じ。 「それに」 今はもう、 「光は貴女の手の中に」 濡れた硝子が煌めいた。 end.