私は深く聞けなかった。
きいちゃだめなような気がしたんだ。
哲の知らない闇の部分。
いつもあっけらかんに笑って可愛い弟みたいな存在。
そんな哲に...。
胸がちくりと痛んだ。
「じゃあ、いっぱい、手伝いしてもらうからね!」
私はあえて元気に明るくそういった。
「うん!...でも、たまに抱きしめさせて欲しいな?」
哲は上目遣いで私を見た。
トクン-----
反則でしょ、イケメンがこういう顔するなんて...。
「たまにじゃなくていいよ。」
「夢...?」
私は哲に抱きついていた。
暖かくて優しいにおい。
悲しみを知った哲だからこそ感じられるものがあった。



