「最後のお母さんのわがまま聞いて。」 「わが、まま?」 お母さんはゆっくりと起き上がった。 「お母さん、寝てなきゃだめだよ!」 「いいの。抱きしめさせて...哲。」 お母さんはか細く力なく最後まで俺を抱きしめた。 「お母さん...。」 俺も力なく抱きしめ返した。 腕が震えて...。 涙で顔はぐちゃぐちゃで...。 この日からだ。 俺は誰かのぬくもりにうえるようになったのは。