「ね、夢。今は俺の名前覚えてる?」 哲はむくっと起き上がると急に私に近づいてきた。 哲の細い指が私の栗色の髪を優しくたどった。 「覚えてるよ...。」 「本当かな?」 哲は更に顔を近づけてきた。 「哲っ。近いよ...。」 哲の白い頬が私の髪の毛を掠める。 「夢、俺の名前呼んでみて?」 切なそうに願うようにそういった哲。 哲...。 なんでそんなに悲しそうな顔するの?