月夜の訪問者

不意に、私の部屋へ目線を向ける雅
目が合う。

ビックリしてカーテンを閉めてしまった。


何故か顔が熱くなる。

こんな事ぐらいでドキドキして、私どうしちゃたんだろう

そうだ!寝るんだった。

布団に入り、枕元の電気を消す。

後1日で、お別れだと思うと何だか寂しい。

この一週間、色々合った。
色んな人に会って、色んな事を覚えて

まるで夢の様だった。

そう、夢から覚めるだけ
それだけの事

夢だったんだ

全部

この胸のトキメキだって
雅の事だって
こんな思いだって

現実に戻れば直ぐに忘れられるわ

大丈夫

大丈夫。











朝、起きて
和泉に連れられて食堂に行く
雅の姿は見えない。

困った様な顔をしているお父様に、私も困ってしまった。

私は明日、この家を出て行くと言うのに…

いつ、どのタイミングで、お父様に言えば良いのやら

取り合えず食事を始めるも、終止気まずい雰囲気だ。

「すみませんね、友理さん」

と、お父様
お父様は、別に何も悪い事してないのだが

「いいえ、気にしてませんから」

笑顔で言った積もりなのだけど、上手く笑えた気がしない。