月夜の訪問者

「おいっ雅!お前っ」
「少し出る。戻る時間は解ん
友理を頼んだ」

お父様のセリフを無視して和泉に言うと、食堂を出て行く雅。

「待ちなさい雅!話しはまだっ」

慌てて追いかけようとするお父様だが、私の存在を気にしてか、思い止ったようだ。

「すいませんね友理さん
雅は何を考えてるのか」

苦笑するお父様

「いえ…」

真実は、もっと残酷なのだから…
保留どころか、初めから結婚等あり得ない話しなのだ。


チラッと、雅の座ってた場所を見れば、ほとんど残している。

何処に行ったのだろう

私には関係無いのに

初めから解ってた事なのに
自分から言い出したはずなのに

どうして?


どうして、雅の『保留』の言葉に、こんなに傷付いているのだろう


私、馬鹿ね…


それ以降、手が進まず、私も朝食を残してしまった。



「すみません…」

お父様に食べきれなかった事を謝る

「体調がまだ、本調子ではないなら仕方ありませんよ。
雅の言葉は気にしないで」
と、お父様

「はい…」

「友理様、お部屋に」

と、和泉に言われ
肩を借りる。


そして部屋に戻った。