「構わんさ、それから友理
解ってるな」

私に目線を向ける雅、目を反らす。

おそらくは、さっきの話しを喋るな!と、言いたいのだろう。

「たく、じゃあ行くからな」

と、雅は食堂を出て行った。

「すまないね、雅は素直じゃない子で
母親が亡くなってから私が甘やかして育てたせいだ
悪く思わないで下さい」

と、お父様

「お父様は悪く有りませんわ」

悪いのは全部雅だ。

「有り難う
雅は女性に興味を持たなくてね、心配していたんですよ」

と、微笑むお父様

私も思わず微笑み返した。

言えない

結婚する気が有りません
なんて
だってお父様、こんなに喜んで…

お父様を傷付ける様な事、私には言えなかった。


一週もしたら私、出て行くのに…




何とか食事を終え、待ってくれていたお父様に頭を下げる。

「本当にすみませんでした」

「良いんですよ、お風呂の場所は和泉に聞いて下さい
女性、男性で分かれてるので」

と、お父様

お風呂が二つもあるなんて!
やっぱり、すごい金持ちなのね。