メイドが引いてくれた椅子に腰かける。

お父さんは優しいのに、どうして雅はこんなんなのかしら
お父様が良すぎたのね。

「私は雅の父で岬(みさき)と申します
貴女の父にもなるんですね
お父さんと呼んで下さいね」


と、雅のお父様

「えっええ、それなんですが…」
「早く食べろ、折角の食事が冷めるぞ」

結婚なんてしません
と、言いたかったのだが
雅に割って入られてしまい、説明出来なかった。

「ああ、そうですね。
どうぞ食べましょう」

と、食事を薦めて来るお父様

「はい…」

仕方なくスプーンを手に取る。
今朝、練習したかいあって使えるようにはなったが
まだぎこちなく、食事中に話し等出来るわけもない

気が付けば、二人とも食事を終えていた。

「あっ、すみません遅くて
お先に立たれて大丈夫ですので」

慌てて先に立つよう促す。

「良いですよ。
ゆっくり食べて下さい」

と、雅のお父さん
優しすぎるも考え物かもしれない

「じゃあ俺、風呂に入って来るから」

と、立つ雅

「あっ、雅
レディーファーストだと言ってるだろ」

と、お父様