月夜の訪問者

取り合えず、机の前の椅子に腰をかける私。



どうして私なんか…


ああ、考えたって雅の思考が解る訳もないわ

帰って来たら聞けば良いのよ！

私は頭を振り、違う事を考える事にした。

姉さんや、奥様は、今頃どうしてるかしら

邸の仕事、女中の二人には悪い事をしたなぁ

二人じゃ大変だろうなぁ
帰ったら謝らなきゃ。

許して貰えるだろうか

姉さんや奥様は？

許してくれそうにないし…


私、帰れない…


コンコン

突然のノック音に
ビクッ
と、少し驚いてしまったが

先生だろう

「はい」

返事をすると、カチャと部屋の扉が開く

慌てて扉の前へ
私が開けるべきだったかしら

「こんにちは、雅の婚約者なんですって？」

と、入って来る女性
大きな二重の瞳に長いまつ毛、薔薇色の唇、ロングの髪はふわりとしている。

お人形さん！？

「あっ、今日は、いらっしゃて下さってっ」

慌ててしまい、日本語がおかしくなる。

「いいわ、早速勉強しましょ」

と、部屋に入って来る先生
私も慌てて椅子に座る。

「私は橘麗香、麗香でいいわ」

と、私に微笑む麗香さん