月夜の訪問者

「凄いわね…」

凄すぎて言葉に出来なかった。

「そうですわね…
そろそろ戻りましょうか
お昼前に友理様の家庭教師が来るそうですから」

と、和泉

「えっ、家庭教師?」
「ええ、雅様が
友理様でしら、見るからに聡明ですし、要らないのでは?と思うのですが」

驚いて和泉に目線を向けた私に、苦笑する

確かに、学校も行かせて貰えず、読み書きもまともに出来ないのだけど…


雅は、何で私にそこまで…


こだわるの?


だって、私より素敵な女性なら山ほど居るし
私は、女中で
しかも、存在すら認められないような出生

読み書きすらまともに出来ないような女

1、2度会っただけで、妻にしょうと思うだろうか

何で…











あれこれ考えつつ来た道を引き返す私。

「どうされました?勉強は、お嫌ですか?」

急に元気の無くなった私を心配してか、私の顔を覗きこむ和泉

「いえ…勉強は大好きよ」

私だって、字を書いたり読んだり出来るようになりたいし
他に色々知りたい事も沢山有る。

「楽しみ過ぎて、勉強ってどんなかしらって考えてたの」

っと、続け、和泉を誤魔化す。