月夜の訪問者

「初めてにしてはお上手でしたわ」

と、誉めてくれる和泉さん

「有り難う。ごちそうさまでした」

ナプキンと言われるらしい紙で口を拭き席を立つ

「さて、私は帰らせて貰います」

玄関は何処かしら?
和泉さんに目を向ける。

「それは出来ません、雅様に、友理様がどうしても帰ると言って聞かないならば部屋に閉じこめろ!と、申し使っておりますので」

笑顔で言うセリフではないと思うのだか

ちょっと監禁じゃないそれ!

「仕方ないわね、雅が帰るまで待ちます」

とは言え、主に命令されて仕方ない和泉さんを押し切る訳にも行かず、諦める。

雅め、帰って来たら思いっきり文句言ってやるんだから!

「そうですわ、友理様はお外に出られた事が無いと聞きました。
お散歩でも如何でしょう?
邸の回りぐらいなら、私がついていれば雅様も許して下さると思います。」

と、和泉さん

「えっ!?外に出ても良いの?」

驚いて和泉さんを見る

「ええ」

頷く和泉さん

「本当に!?やったぁ!」

嬉しい
外に出られるなんて

せっかくだし外を漫喫したって悪くないわよね?