月夜の訪問者

そう言えば、まだ若旦那とか言われて遊んでるだけかと思ったら
ちゃんと仕事してるのね。

「あの、雅は何の仕事してるんですか?」

と、和泉さんに尋ねる

「ええ、貿易商の旦那様の仕事の御手伝いと、後取りとしてのお勉強を、なさっていますよ。」

と、ベットの手入れをはじめる和泉さん

「へーそうなんですか」

貿易商って外の国と交流したりするのよね
自分の邸の外に出た事もない私には、考えられないわ

「あの、何かお手伝いしましょうか?
朝御飯とか、洗濯とか、掃除とか
けっこう自信有りますよ」

和泉さんが片づけるのを見てるだけなんて、何だか居たたまれない。

「いえ、これで終わりです。
朝食は準備して有りますのでご案内致します」

と、私に微笑み歩き出す和泉さん。
私より若そうなのに確りしてるなぁと、思わず感心する。

「広い邸ですね、迷子になりそうだわ」

苦笑しつつ呟く
松本の家も広かったけど、ここまでじゃない

「私がついて回りますので大丈夫ですよ。食堂は、こちらになります。」

と案内され部屋に入る。

「わぁ」

素敵なテーブルに豪勢な食事
見たことも無いものばかりだ