「姉さん…」
「煩い!お前なんて殺してやるっ」
と、たまたま近くのテーブルに置いてあった果物ナイフを手に取る姉さん
途端に会場は旋律と化した
キャーと女性の悲鳴があちらこちらから上がる
私は声も出ず、姉さんの動きがスローに見えた。
ああ、姉さんに刺されるなら仕方ないかもしれない
私の母さんが姉さんの父さんを寝取ったせいで姉さんも奥様も傷ついたんだもの。
どうせ私は、存在すら許されない存在
ならいっそ…
目を瞑る
くっ
と声が聞こえ、訪れるはずの痛みは、いつになっても訪れない
私は、ゆっくり目を開けた。
「なっ」
私は、目を疑った
私の前には、血塗れの腕を押さえる雅の姿
「キャー雅様っ」
「坊っちゃん!」
「雅様っ」
と、雅の回りに集まる人
「俺の嫁を傷物にされちゃ困るな」
なんて、こんな時になんてセリフ言ってんのよ
「うそっ私を庇ってっ…!」
慌て雅の腕を見る私
血が多すぎる、動脈を切ったかもしれない
姉さんの怯えた顔が視界の端に見えたが、それ所じゃない
「早く病室にっ」
「大丈夫だ。かすっただけだ」
と、いつもの涼しい顔をしてみせる雅
「煩い!お前なんて殺してやるっ」
と、たまたま近くのテーブルに置いてあった果物ナイフを手に取る姉さん
途端に会場は旋律と化した
キャーと女性の悲鳴があちらこちらから上がる
私は声も出ず、姉さんの動きがスローに見えた。
ああ、姉さんに刺されるなら仕方ないかもしれない
私の母さんが姉さんの父さんを寝取ったせいで姉さんも奥様も傷ついたんだもの。
どうせ私は、存在すら許されない存在
ならいっそ…
目を瞑る
くっ
と声が聞こえ、訪れるはずの痛みは、いつになっても訪れない
私は、ゆっくり目を開けた。
「なっ」
私は、目を疑った
私の前には、血塗れの腕を押さえる雅の姿
「キャー雅様っ」
「坊っちゃん!」
「雅様っ」
と、雅の回りに集まる人
「俺の嫁を傷物にされちゃ困るな」
なんて、こんな時になんてセリフ言ってんのよ
「うそっ私を庇ってっ…!」
慌て雅の腕を見る私
血が多すぎる、動脈を切ったかもしれない
姉さんの怯えた顔が視界の端に見えたが、それ所じゃない
「早く病室にっ」
「大丈夫だ。かすっただけだ」
と、いつもの涼しい顔をしてみせる雅
