月夜の訪問者

ちょっこれどうなって?

この人何を言ってるの?


ああ、夢ね!そう夢だわ
悪い夢


混乱して真っ直ぐ立っていられず、雅に倒れ込む私
雅が肩を支えてくれていたので倒れる事は無かったが、上手く立っていられない。

あれ?私、どうやっていつも立ってたのかしら

悪い夢なら早く覚めて欲しい

沢山の女性の視線が私に集まる

「松本家って確か美雪さんの家よね?」
「美雪さん意外に娘なんて居たかしら」
「でも何だか気品が有る方だわ」
「そうかしら、雅様とは不釣り合いだわ」

更にざわつく会場

もう嫌っ帰らせて
奥様に怒られても良い、姉さんに蹴られても良い
刺されるよりましだわ

「美雪ちゃん!」

奥様の叫び声が聞こえたと思い、目線を動かす

「姉さん!?」

私の前に走り出て来る姉さん
泣いてる?

「どうゆうつもり?どうやって雅様をたぶらかしたの?
さすがお父様を寝取った女の娘ねっ」

姉さんは言うなり私を睨む

「姉さん違うの!」

誤解だよ!私は何もしてないのにっ

パーン

広い会場に響く渇いた音にみんなが静まりかえる。

私は頬を押さえた。