「何なの?一体」

未だに自分が外の世界に居る事が実感出来ない

「仕方有りませんね」

と、溜め息混じりの店員に手をとられる

「あの…一体何処に?」

黙って連れて行かれる。

気付けば衣装部屋みたいな所に連れて来られていた。

「これを着て下さい」

差し出された服
私は、何が何だか解らないうちに試着室に
取り合えず着替える。

「あの…このような服、私には」

似合わないと思う
淡いピンクの凄い高級そうなドレス
スカート部分には銀の刺繍が、細かい

「出て来て下さい」

試着室の私に声をかける店員さん
確かに、ずっと中に居るのも迷惑だろう
仕方なく外に出る。

「とてもお似合いですよ、若旦那が選んだだけ有りますね。」

と、微笑む店員
呉服屋の常套句だとは思うが

これ、あの人が選んだんだ…

「少しお化粧致しましょうか」

と、鏡の前に座らされる。


数分後

「出来上がりました。何処かのご令嬢とお伺いしましたが
やはり気品が有りますわね
元が良かったのであまり弄らなくてすみましたわ」

と、店員さん
お世辞が上手だなぁと思いながら目を開く