「じゃあ、今、襲われたのはなぜ? それに、見えるからって人と違うから人に合わせて目をそらしていてもそんなの霊はわかってくれない。霊たちは力のある人に近づこうとするの。利用しようとしてね。だから、その危険から自分を守るためにも自分自身で自覚しなくちゃいけない。自分には霊力がある。だから、危険が多いのだということを!」
深青は途中で言いながら自分の中で止められなくなってきていた。
亡き父が自分たちに何度となく言ってきた言葉だ。
言い終ってから熱くなっていた自分に気がつく。
いつもと違う深青の様子にみゆきは戸惑っているようだった。
「ごめん………。ちょっと、熱くなっちゃったね」
「……………。お前は、自分が人とは違うって思ったときどう思った?」
一瞬の沈黙の後、大也が静かに話し出した言葉に深青は一瞬詰まる。
それは昔のことを話さなくてはいけないから。
「私は………。私の家は母以外はみんなこんな力を持っていたから。自分だけが違うとは思わなかった………」
「それじゃ、大也の気持ちなんて本当のところわからないじゃない!」
みゆきがすかさず口を挟む。
深青はちくりと胸が痛んだ。
みゆきの言っていることは正しい。
自分は恵まれていたと本当のところ、ずっと思っていた。
だからこそ、なおさらその言葉は胸に響いた。
「みゆき! お前は黙っててくれ」
大也に言われてみゆきは仕方なく上げていた腰を下ろす。
「でもね、力を持っているがために危険があるということは多分、誰よりもわかっている」
その先にあったことを深青は思い出したくなくても思い出してしまう。


