「あのね、そんなに私が早く起きてたら駄目なわけ?」


憮然と口を膨らましながら不満をもらす唯香。


どうやら、深青とさゆりの会話に不満があったらしい。


目に見えて不機嫌な顔を2人に向ける。


「いや、そういうわけじゃ。でも、めずらしいから。」


深青はフォローをするためにコーヒーを飲みながらさりげなく返す。


唯香はフォークでレタスをグサグサと刺し、納得いかないのか憮然とした表情が変わらない。


そんな唯香の態度にフゥ~と息を吐くとさゆりは諭すように優しく言う。


「いつも遅くまで寝ているのが悪いのよ。お姉ちゃんにそう言われても仕方ないでしょ? いつまでも子供みたいに拗ねないの! それより、もう、でなくていいの? そのために、早く起きたんでしょ?」


その言葉に時計を見て、いきなり立ち上がる唯香。


「やばい! 何のために早起きしたのかわかんないよ」


まだ食べていない食パンを口にくわえて鞄を肩にかけ、唯香はバタバタと出かける。


「気をつけてね―――!」


後を追いかけるようにさゆりが玄関まで見送る。


「いってらっしゃい!」


母の声が玄関から聞こえてくるのを聞きながら、深青は新聞を読んでいた。