「えっ? じゃあ、何? 大也が言っていた女の子って如月さんだったの?」
みゆきの驚く表情を見て、深青は申し訳なさそうに頷いた。
「ごめんね、騙すつもりとかなかったんだけど、公にはしたくない事情と言うものがありまして………。たぶん、正木くんはわかると思うけど、こういった力って目に見えない人が多いじゃない。だから、それだけ理解してくれる人もいないんだ。そんな話をするとまるで変な人のように見られるでしょ。だから、できれば人には知られたくなくて………」
深青の言葉に大也は深く頷いた。
わかってくれたのだと深青は安堵する。
「それは………、よくわかる。実際、俺も両親にすら言っていない。というか、言っても笑って本気にされなかったな」
天井を見ながら寂しそうな顔をする大也を見て、深青はその顔に幼き頃に同じような表情をした綺羅の姿が重なった。
「でも、大也には私がいたじゃない!」
大也の腕を揺すりながらみゆきが必死に諭そうとしているのを見て、深青は安心する。
全く誰にも理解されなかったわけではないのだと。
1人でも理解してくれる人がいるのといないのとでは雲泥の差がある。
だから、大丈夫だと2人を見ながら目を細めた。
「何から話せばいいのかな………」
時間がそうあるわけではない。
深青は重い口を少しずつ開け一言一言噛み締めるように話し始めた。


