結構な距離を走り、深青と優奈は息が上がっていた。


「見えた。あそこ!」


門燈の灯りが一際輝いている家がある。


その灯りのおかげで家の壁の色などもうっすらだが見える。


だが、今の深青たちにそんな観察なんてしている余裕はない。


「いる………。優奈は危ないからここにいて」


優奈を正木家の門の前に待たせ、深青は門を開け中へと入っていく。


不法侵入だが、そんなことを言っていられない。


今は一刻を争うのだ。


どうか、無事でいてくれという願いをこめ、深青は近くにあった木をよじ登り大也の部屋と思われる前のベランダへと入り込んだ。


その時だった。




「うわっ!」


大也の声がしたと思ったら、深青のいるベランダの窓が開いた。


「え? 如月? どうして?」


目をぱちぱちとさせながら、窓を開けて立ち止まる大也。


その後ろに深青は2本足で立つ舌の長いトカゲの悪霊を見る。


トカゲといえばうかべるのは長さ10㎝ぐらいを思い浮かべるだろう。


だが、その悪霊はゆうに2メートルはある。


部屋にぎりぎり収まる高さだ。


そのトカゲがまさに動きを止めた大也に襲いかかろうとする。


「危ない! どいて!」


深青は大也を自分の方へと引き寄せる。


「うわっ!」


倒れこむ大也だが、深青は上半身をすばやく起こしトカゲの動きを止める。


一瞬のことだが、深青の手から光が放たれ、その光が消えたと思ったらその時には深青の手には赤く光る弓が握られていた。


その弓で敵の攻撃をガードしたのだ。