「なんとか逃げきれたみたいだね。優奈、検索でた?」


深青が聞いた瞬間、携帯がピロピロリンと鳴る。


「出た! とにかく、駅に向かっていってそこからすぐ」


その答えを聞くと深青は走るペースを上げる。


「ところでさ、どうして正木の家に向かうわけ? 屋上では何もわからなかったんでしょ?」


「正木くんにつけていた式神が消されたの。消される前に霊気を飛ばしてね」


「それって………、正木が狙われてる?」


深青は頷く。


そして、厳しい顔でそのあとを続ける。


「もしかしたら、植木鉢で狙われていたのは正木くんだったのかもしれない」


「でも、どうして? 化学室の件は正木には関係ないって!」


「うん………。化学室はね。でも、今狙われている現実と植木鉢の件。彼が誰かに狙われているのは間違いないわ。とにかく、行ってみればわかる」