「え~っと、植木鉢が落ちた場所から推察して………落としたのはこのあたりだね」
深青は柵から覗き下を見る。
「まったく、よくやるわね。あんた」
優奈は深青を呆れた顔で見る。
「何が?」
「何がって、涼しい顔してよくやるわよ。あんたの本当の恐ろしさを見たような気がした」
「大げさだなあ。ただ、ピンで鍵を開けただけじゃない」
「あんなこと、普通はしないし、できないものなの!」
「ドラマとかでよくあるじゃない。見よう見真似」
深青が必死で言っても優奈は疑いの目を変えないでじと~っと見ていた。
「それにしてもないなあ」
深青は周囲を見渡し探すが何も見つからない。
「何、探してるの?」
座り込んで地面とにらめっこをする深青を見かねて優奈も近くに座り、地面を見る。
「う~ん。呪法の跡が微塵も感じられないんだよね………」
「それって、やっぱり偶然だったってこと?」
優奈に言われてもなんだか納得できない深青は立ち上がり右手を顎に添える。
「でも…………、確かに霊気を感じたんだけど………」
そう独り言を言うと深青はハッと顔を上げる。


